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埼玉の蔵で醤油作り体験!笛木醤油の若社長に聞く、古くて新しい醤油の世界

埼玉の蔵で醤油作り体験!笛木醤油の若社長に聞く、古くて新しい醤油の世界

私たちの食卓に欠かせない醤油。どこでどのように作られているか、ご存知でしょうか? 今回はあまり見ることのない醤油の製造工程現場を見学&体験。埼玉県の川越市・川島町に根付く老舗醤油店「笛木醤油」の歴史・伝統と、醤油作りを後世に伝える新しい取り組みに注目します。


関東で醤油作りが盛んな地と言えば千葉県。その生産量は全国1位で圧倒的なシェアを誇ります。しかしこの記事では、あえてお隣・埼玉県に注目。埼玉には醤油の醸造所が9軒ほどあり、なんとそのうち4軒が創業100年を越える老舗の会社だったのです。古き良き味を現代に伝える、埼玉の老舗醸造所の醤油作りについて紐解いていきます。

蔵の街・川越にあるお醤油屋さん

日本らしい「小江戸」の町並みが楽しめるスポットとして多くの人が訪れる川越。近年では外国から訪れる観光客にも人気です。その中でも蔵造りの建物が並ぶ一番街商店街に、「金笛 笛木醤油 川越店」があります。笛木醤油さんは老舗が多い埼玉の醤油醸造所の中でも、寛政元年創業・228年の歴史を持つ古株。

重厚な雰囲気が漂いますが、意外にもこちらの建物は平成になってから建てられたもの。醤油蔵の伝統の造りを現代風にアレンジし再現しているそうです。お醤油などを買えるスペース、そして季節のうどんが楽しめる飲食スペース、展示スペースがあり、多くの人がその風情を楽しんでいます。

川越の観光スポットとして魅力的な存在感を放つ笛木醤油さん。パンフレットを覗くと、醤油作りも昔の製法にこだわっているそうです。伝統製法って何だろう?よく見かける大手メーカーの醤油との違いは?そういった疑問を解明すべく、今回はこのお店よりも「醤油作り」にフォーカスを当てていくことに。仕込蔵がある笛木醤油本社に訪れるべく、おとなりの川島町(かわじままち)に向かいました。

寛政元年創業の老舗・埼玉県川島町「笛木醤油」工場へ

川越駅からバスで約20分。こちらが笛木醤油の本社・仕込蔵です。お店と同じように、もしくはそれ以上に建物の重厚感、色合いがとてもカッコイイ!

今日は特別に、社長の笛木さんにお話を伺いながら醤油作りを見学します。笛木社長は2017年夏に十二代目当主に就任したばかり。伝統を受け継ぎながらも若手の当主として新しい試みも行い注目を集めています。

(写真左奥が笛木社長。今回は川島町主催のツアー行程の一部で見学に伺いました。)

さっそく、醤油の熟成を行なっている仕込蔵へ。黒い木の壁やひさしがいい味をかもし出しています。

醤油の基本的な材料は、大豆、塩、小麦。種麹を混ぜ合わせ、発酵熟成させることで独特の風味を生み出します。こちらが仕込み中の醤油の様子! 床一面に仕込み桶が並んでいます。

大手メーカーの醤油が仕込から6ヶ月ほどで出荷されるのに対し、笛木醤油さんの製品はじっくりと1年以上発酵熟成させます。それは、伝統である木桶での仕込みにこだわっているから。ステンレスのタンクで温度管理をしながら貯蔵すると早く仕上げることができますが、木桶で寝かせることで麹菌や乳酸菌の働きが活発になり、コクやまろやかさが生まれるといいます。

気温が暖かい日は、訪れた人の声や動きに反応してぷつぷつと菌が活発になる様子が感じられるそうですよ。そんなお話を聞きつつ、味見用のもろみをいただきました。しょっぱさは感じますが塩辛いというわけではなく、まろやかさ、奥深いうまみが感じられます。熟成が済んだものを絞った液体がお醤油になります。

かいつき体験&木桶のお話

さて、仕込蔵はガラス越しに眺めるのみでしたが……間近で見ながら、醤油をかき混ぜる「かいつき体験」ができるコーナーが用意されていました! わたしも初めて醤油作り工程の一部に挑戦。「おいしくなあれ」と声をかけながら混ぜていきます。「男性より、女性が混ぜたほうがおいしくなりそうですね!」なんて冗談も飛び交いながら……。これでも少量だそうですが、かなり手ごたえがありました。

体験したあとは笛木社長が仕上げのひと混ぜ。慣れた手つきで、職人の背中といった風格です。

そして、こちらは単なる体験コーナーではありません。特別な木桶を紹介するコーナーでもあります。そこには、笛木社長をはじめとするさまざまな人の思いが詰まっていました。

伝統的な仕込みにこだわる笛木醤油にとって、醸造に使われる木桶を製造する職人の存在はなくてはならないものです。しかし現代、大きな桶の需要が全国的に少なくなり、若手の職人が経験を積む場がほとんどないのだそうです。このままでは製造できる人がいなくなってしまう……そんな危機感から、昨年笛木醤油ではなんと半世紀ぶりに新しく木桶を作りました。それがこの吉野杉を使った木桶。先ほどの仕込み用のものよりは小ぶりですが、木桶作りの若手職人にとっては貴重な機会になったといいます。

今年も新たに木桶を製作したのに続き、再来年に迎える創業230年の節目には、さらに大きな仕込み桶の発注を考えている笛木さん。「未来へ繋ぐ100年プロジェクト」と題し、埼玉の在来大豆を育て、収穫し、醤油を仕込む体験ができる「食育イベント」も開催しています。さまざまな挑戦を行う笛木社長の勢いにこれからも注目ですね。

蔵に隣接する直売所でショッピング♪

最後のお楽しみ、お買い物タイムへ。本社には工場直売店も併設されています。実際に作られる様子を見ていると思い入れが違いますね。代表的な商品である金笛醤油はもちろんですが、だしの素、たまり漬、醤油ゼリーなど次々に手に取ってしまいました。醤油の香ばしい風味がたまらない割れせんべいもおすすめです。

この記事のライター

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